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絵本の持つ言葉の力、絵の力は、 深く、広く、温かく、優しく、楽しく未来への希望へとつなげる 言葉の世界.。絵本は、広い未知なる宇宙です。

トルストイ民話集 イワンのばか 他8篇

 

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作:レフ・トルストイ

訳:中村白葉

岩波書店

 

「本当の幸福とは何なのか」

 

足るを知るという言葉がある。

 

生きるために、
働く。

 

自分のために。
他者のために。
生きるために。

 

欲が無いイワンの生き方は、
究極の無私。

 

その時に必要なもの。
その時に大事なこと。

シンプル、
単純に、
愚直に、
ひたすらに、

それが、
清く天に続く道と信じて歩んでいるかのように。

土への感謝。
実りへの感謝。


周りはそれを、
愚かしさ。
馬鹿なことと見る

その対比から見えてくるものを、
思索させられる。

 

昔話に時々出てくる主人公の
無知、無私、無欲が

辿り着くところに、
良きもの、宝が用意されている。


昔から伝えられる
昔話、民話に宿る英知は

言葉を多く語らないが
真理を垣間見せてくれる。

 

 

ロシア文学者で「戦争と平和」『アンナ・カレーニア』『カラマゾフの兄弟』などの大作を書いた
レフ・トルストイが、ロシアの民話や伝説などを手掛かりに創作した小品集。

キリスト教精神の真髄とも言われていますが、
素晴らしい話の小品集。

宗教的な背景に縁がなくても、
心の奥深くに残る一つの真理が横たわっている作品だと思う。

この小品集にはいくつかのお話が掲載。

・イワンのばか
・人は何で生きるのか
・人には多くの土地がいるか
・愛あるところには神もいる
・ふたりの老人
・三人の隠者
・小さい話(4編の小さい話)
カフカースのとりこ

トルストイの人間の持つ愛を深く考察した一人。

人間の醜さを掘り下げながら、
一方で、人間の持つ深い愛を信じる

作家でありながら聖人のような人。

彼の一生は、
人間が生きることへの理想を求める
求道者のようだ。

裕福な貴族の家庭に生まれながら、
最後は私有財産を全て貧しい人たちに与えようとしたが、
家族に反対され、
ひとり家出をして貧しい人々と暮らそうとする。
それが叶わず、
旅の途中で、
一人寂しく亡くなったと伝えられている。

 

「本当の幸福とは何なのか」と追い求めた
トルストイの文学者としての足跡は
深く考えさせられる。