ehon-labo’s blog  本の小部屋にようこそ libro favorito

絵本の持つ言葉の力、絵の力は、 深く、広く、温かく、優しく、楽しく未来への希望へとつなげる 言葉の世界.。絵本は、広い未知なる宇宙です。

わすれられないおくりもの

 

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作:スーザン・バーレイ
訳:小川仁央

評論社
 
大好きな人の死。
その悲しみを乗り越えられるでしょうか?
 
英国では
馴染みが深く愛されているアナグマが主人公のこのお話は、
身近な人を亡くした時、
そっと手渡したい一冊です。

 

優しくて、知恵深く、温かに包んでくれる
いつも寄り添っていてくれた
アナグマの死。

 

アナグマのまわりには、
支えられ、助けられた多くの友達がいました。

長いトンネルの向こうに行くよと
手紙を残して生涯を終えたアナグマの死は

ポッカリと穴が空いた虚しさと寂しさで
アナグマとの永遠の別れに
友達たちは、
冬の間、気持ちが沈んでしまいました。

ポツンと取り残されたように。

もういないという喪失感は、大きいものです。
かけがえのない人との別れは、
その関わりの深さに応じた、重く深い悲しみです。

アナグマは、
たくさんのメッセージを残して
旅立っていたのです。

 

春を待ちながら
それぞれに、
一人一人、
アナグマとの思い出を

一つ一つ
思い出して行きました。

冬は、深い悲しみに浸る、静かな時。
ゆっくりと、アナグマの愛を思い出す時間。

 

一人一人に、
愛溢れる関わりをしていたアナグマ

丁寧な関わりは、
アナグマが、
今も、いつも一緒に
そこに、ここにいるという
ことを気づかせてくれました。

いないけれど、いる❣️

お日様のような温かさに包まれて
アナグマのたくさんのメッセージが
心に蘇ってきた時、

そこに、いる❣️

 

アナグマを語り
一緒にいるということに気づき始めたのです。

 

長い厳しい冬が終わり
温かな日の光で草花が芽を出し始めた春。
自然の恵みは、心に蘇らせてくれるきっかけでした。

 

悲しみの極みに降り立った友達たちは
もう一度、アナグマに出会うことを知るのです。

死者は、いつも
私たちを見守り包んでくれる存在。

アナグマの愛に触れた友達たちは
生涯、その愛に包まれて
生きることができますね。

 

 

随筆家であり詩人である若松英輔氏は、
著書『悲しみの秘儀』のなかで


”悲しみは、別離に伴う現象ではなく
亡き者の訪れを告げる出来事だと
感じることはないだろうか。”

 

と、述べています。

 

この言葉をかみしめる時

死者は、いつも
私たちを見守り包んでくれる存在。

 

そう思います。

 

 

 

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『悲しみの秘義』
若松大輔著